よくブログなどで、「歌褒められました」みたいな事ばかり連発すると、読む人を疲れさせてしまう事もあるかな、と感じさせられる事もありますが、今日のブログも自慢話的な部類に入ってしまい痛い可能性もありますが、自分にとってとても数少ない心に残る経験だったので、書かせてもらいます。これより先読んでいただく方は自己責任でお願いします(笑)


あれは2008年前半くらいだったかな、結構暖かったと思う。
当時、マンハッタンのビレッジにあるイタリアンレストランで毎週演奏してました。

日本でもレストランギグでは、お客さんは基本的に音楽を聴く事でなく、食事をする事がメインなので、「あまり聴いてもらえなく騒がしい中で演奏するのは難しい」という様なミュージシャンのセリフをたまに耳にしますが、ニューヨークでのレストランギグはその比ではなく、何十倍も騒がしく、音楽は完全に無視され、演奏している人間の存在さえ知らない人も多いくらいだと思う。

まぁどんな状況でも、そんな状況でも一人でも聴いてくれてたらその人のために、誰も聴いてくれてなくても、自分のため、自分の目指すところに少しでも近づくために、ただその時の自分のできるベストを目指す、という心構えはその頃植え付けられたと思います。

だいたいいつも、そんな日本ではちょっと考えられないような程、ある意味厳しい環境でひたすら演奏してましたが、ある日、一曲終わったところで1人の女性がピアノのところへやって来て、「あなたのピアノは、みんな涙流さずには聴けないわ。あなたのためだけにMy Funny Valentineを歌わせてもらいたいわ。」といって、耳元でホントに自分にだけ聴こえるくらいのささやくように、そして突き刺さるように歌ってくれました。

その騒がしいレストランの大部分の空間とはまるで別世界で非現実的な空気が流れてた気がしました。歌い終わって、お互いに「ありがとう」と言って、彼女はテーブルに戻りました。

その時のセットが終わって、彼女のところにお礼を言いに行って名前を聞こうとすると、一緒にいた彼女の友人が「彼女はRoy Hargrove's RH Factorで歌ってるとても有名なシンガーよ。googleすればすぐ分かるわよ」とだけ教えてくれました。とても失礼ながら、RH Factorというバンド名すらよく分かってないくらいでしたが、家に帰ってyou tubeでみたら、このRenee Neufvilleというシンガーだった事が分かりました。

ホントに非現実的でまるで映画のワンシーンのような感じに思えましたが、 自分にとって最高のプレゼントで、多分今後もずっと忘れない瞬間でした。