こういう話をすると決まって起こる議論があります。

ミュージシャンやベテランリスナーがジャズを聴く経験の浅い人に
対して、「分かってない、知らない」の様に言ってしまう。そして、後者は前者に対して「偉そうにするな、そのような人達が新しいファンが増えない原因だ」のように言ってしまう、みたいな感じかと思います。


どちらの言いたい事も分かるし、どちらが間違い、
と安易に言い切れる問題でも無いかもしれません。


自分自身の事で言えば、ジャズを聴いた事の無い人に楽しんでもらえる、喜んでもらえる事というのは、一番大事にしている事です。専門家に評価されたくて、褒められたくて、尊敬されたくてプレーするわけではないし、むしろ専門家にも専門家である事を忘れさせるほど、幸せにする事ができたら最高です。たとえ専門家の人でも、
1人の人として気持ちよくしたいです。


自分がリスナーの立場でも、演奏する時でさえも“ど素人の感覚”
で感じる部分はとても大切にしたい、と思っているし、超一流の素人にもなりたい。

ですから当然バカにしたりとか、知識が無いと楽しめるわけない、感じれるわけない、とは思いたくもないです。例えばかなり難解なリズムのモジュレーションなんかを、理屈を知るわけではなく、笑いながら楽しんでくれる人は結構います。知識など無くても説明はできなくても何か面白い事が起こっているという事は感じれたりする、という事ではないかと思います。



でもその反面、ジャズという音楽が、
リスニング経験が全く無くても誰でも楽しめるか、と言うと、やっぱりそこは知識や経験など全く無くても、多くの人が一度聴いただけで、好きになったり楽しめるようなポップスとは大分違ってくるのではないでしょうか。


何時間もかかるようなオペラを何の経験や準備も無しに、
ずっと集中していきなり楽しめる人はかなり少ないでしょう。でもリスナーとして経験を重ねたり、ちょっとした仕組み、構成、からくりなど理解していく事によって、少しずつ、魅力、深さなど感じて楽しめるようになる可能性もあるかもしれないです

クラシックの曲で、殆ど同じテンポで同じ演奏家に演奏され
たものでも、片方はあまりハプニングしてない、何かが足りない、もう一方はハプニングしていて訴えかけてくる力が全く違うなんて事を感じたりするような楽しみ方も、やっぱりある程度の経験が必要とされるのではないか、と思います。



初めて経験した時には、
ただただ退屈でつまらないとしか感じなかったものが、何回も聴いていくうちに、深く感動させてくれるものになる、という事はよくあると思います。


ある意味楽しむ側にも何らかのプロセスや努力(
もっと適切言葉があるかもしれませんが)や忍耐?を求めるけど、その代わりのご褒美のよう感じで、その分どんどん深く感動させてくれる、ということが芸術全般であるのではないかなと思います。本当はあまり言葉で言いたくないですが、簡単に言ってしまえばそんな感じでしょう。

そこが、
誰もが聴いて一発で曲を覚えられて好きになれたりもするポップス、商業音楽と違う部分で、どちらがいい、という話では無いけれど、楽しみ方の違いはあるのかなと思います。


ジャズは誰にでも楽しめるべき、と思う一方で、時間と経験があればより深く、もっともっと楽しめるかもしれない、という事を認めてもいいのかな、
と自分は感じます。